こんにちは。高知県高知市を中心に企業の経営支援をしている、株式会社ICUの川島です。
本日は「タイヤ販売」を題材に、「興味がない人を、どのように購買意欲へと導いていくか?」というテーマをお届けします。
ガソリンスタンドの現場から見える、“ナーチャリング=顧客を育てる”営業の本質を、やさしく紐解いてみましょう。
「売れない」のは、タイヤが悪いからじゃない
あるガソリンスタンド勤務の方が、こう嘆いていました。
「タイヤって、ほんとうに売れないんですよ。必要性を伝えても、“また今度”で終わってしまうんです。」
お客様の反応は、こんな具合です。
「えっ? まだ使えるでしょ?」
「どれも同じに見えるけど?」
「タイヤなんて気にしたことないなぁ」

でも、これはタイヤに限った話ではありません。
「興味がない」という状態は、必ずしも「必要ない」ことを意味しません。
実は、“まだ気づいていないだけ”というケースがほとんどです。
だからこそ大切なのが、“気づき”のきっかけを与えること。
つまり、ナーチャリングの出番です。
いきなり「売る」のではなく、「気づいてもらう」ことで、“買いたくなる状態”を育てていく。
それが営業のスタートラインになるのです。
はじまりは、さりげない会話の中の「気づきのタネ」
では、具体的にどのように“気づき”を生み出すのでしょうか?
たとえば、ある日給油に立ち寄ったお客様に、スタッフがこんな声かけをしました。
「今日はお出かけですか? そういえば最近、タイヤの空気圧はチェックされましたか?」
一見すると何気ない一言ですが、お客様の意識がふと変わります。
「あれ? 見てないかも…」
「空気圧って、そんなに大事なの?」
ここが、気づきの第一歩です。
さらにスタッフが続けて説明します。
「実は、空気圧って1か月で5%ほど減るんですよ。燃費やブレーキ性能にも影響するんです。」
知識と具体的なメリットを交えて伝えることで、お客様の関心は一段階深まります。
「よかったら、空気圧だけでも無料で点検しましょうか? 安全運転のためにも、一度見ておくと安心ですよ。」
“無料”という安心感、そして“売る前にちゃんと見てくれる”という信頼感。
この2つが、お客様の心をふっとやわらかくします。
実際に点検しながら、数値を見せてこう伝えます。
「だいぶ減っていますね。このままだと、雨の日にブレーキの効きが少し悪くなってしまうかもしれません。」
「安全」というキーワードは、自分や家族を守る本能に働きかけます。
これにより、“他人事”だったタイヤが、“自分ごと”に変わっていくのです。
「安心して選べる場」をつくるのが営業の本質
この段階で、すぐに購入する方は少ないかもしれません。
でも大切なのは、「また来よう」「今度相談してみよう」と思ってもらえること。
この“心の変化”こそが、ナーチャリングの成果です。
「タイヤって、意識したことなかったけど、ちゃんと見てくれて安心できた。」
この感情が、「交換を考えてみようかな」という思考を芽生えさせ、
“なんとなく気になる”から“買うことを検討する”へと、心理を少しずつ動かしていきます。
売れなかったタイヤが、気づきによって“納得して買ってもらえる”ようになる。
このサイクルが回り始めると、販売は自然で、心地よいものになっていきます。

営業は、「売る」より「導く」こと
営業には、「今すぐ買ってもらう」ための手法もあります。
でも、それ以上に価値があるのは、「買いたくなる気持ち」を育てること。
そのために必要なのは、“気づきのデザイン”です。
- さりげない会話
- わかりやすい説明
- 無料の提案や点検
これらの小さな工夫が、お客様の心を少しずつ動かします。
それは、業界を問わず応用できる、営業の原点ともいえる姿です。
ナーチャリングに必要なのは、特別な技術ではありません。
お客様の理解度や関心度にあわせて、伝え方を変える“柔らかさ”です。
お客様の心に寄り添うこと。
それが、ナーチャリングの第一歩です。
今日のひと言が、来月の売上につながる。
そんな“育てる営業”、あなたの現場でも始めてみませんか?