何が量稽古に向かわせるのか

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

前回、仕事の質を上げるには量稽古が欠かせないという話を書きました。

すると、こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「量稽古が大事なのはわかった。でも、何がそこまで人を駆り立てるのか」

私は、その答えは「感性だと考えています。楽しい、なりたい、欲しい。何かに心を動かされ、自分の内側から湧いてくる力それが、量稽古に向かわせる原動力です。

感性が人を動かす

量稽古を続けている人を見ていると、共通点があります。どこかで「面白い」と感じていることです。

作業そのものが好きな人もいれば、上達していく感覚が楽しい人もいる。何かに「なりたい」という憧れが支えになっている人もいれば、「この技術を自分のものにしたい」「もっと良い仕事ができるようになりたい」という渇望が量を重ねさせている人もいます。源泉の形は人それぞれですが、内側から湧いてくる何かがないと、量をこなすことはただの苦行になってしまいます

前回ご紹介したキーボードだけで書類を仕上げるコンサルタントも、おそらく最初から速かったわけではないはずです。操作を覚えていく過程で「これは面白い」と感じる瞬間があったのだと思います。その面白さが、反復を反復と感じさせなくなる。

「やらなきゃ」では続かない

「やらないとまずい」「遅れを取りたくない」。恐怖や焦りは、最初の一歩を踏み出す力にはなります。ただ、その力だけで走り続けるのは難しいものです。

義務感で始めた量稽古は、成果が見えないうちにやめてしまうことが多い。一方、「面白い」と感じている人は、成果が出なくても手を動かし続けられますこの差は大きなものがあります。

今は昔と比べて豊かな時代になりました。衣食住に困ることが少なくなったぶん、切迫した欲求は持ちにくくなっています。ただ、感性がなくなったのではなく、豊かさの中で気づきにくくなっているだけだと私は思います。

これからAIがさらに多くの仕事を引き受けるようになれば、「自分でやらなくてもいい」場面はますます増えるでしょう。そうなったとしても、「こうなりたい」と願い、「これが面白い」と感じる。「こうすればもっと良くなる」「さらにこんなことはできないか?」という気持ちが湧き上がってくる。この感性は人間だけにあるもので、AIにはありません。内なる欲求から湧いてくるこの力だけは、どれだけ技術が進んでも代替されません

感性に火を灯す

では、その感性をどうやって見つけ、量稽古に向かう力にするか

まずは、過去に時間を忘れて没頭した経験を思い出すことです。仕事でも趣味でも遊びでも、夢中になった経験は誰にでもあると思います。あの時、何が面白かったのか?どこに夢中になったのか?きっとそこには、自分の感性の手がかりがあります。

手がかりが見えたら、今度は今の仕事の中で意識してみてください。全体が楽しくなくても、部分的に手応えを感じる瞬間はあるはずです。見積もりの数字がぴったり合ったとき、お客様から「助かった」と言われたとき、提案書の仕上りが最高に良かったとき。そういう小さな手応えは、忙しい日々の中では流れてしまいがちです。でも、足を止めて味わうと、それが量稽古に向かう力の種になります

部下がいる方なら、「最近の仕事で、ちょっと面白いと思ったことある?」と聞いてみるのも一つの方法です。本人がまだ気づいていない感性を、会話の中で一緒に引き出せることがあります。

感性が原動力になる

量稽古は技術を磨く手段ですが、続けられるかどうかを決めるのは技術ではなく感性です。「楽しい」「なりたい」「欲しい」はどれも自分の感性に気づかせてくれる大切な気持ち。心の内側から湧いてくる強烈な力は、義務感だけでは走り切れない距離を走る力を与えてくれます。

自分は何が「面白い」と感じるのか?その小さな発見が、量稽古を続ける一番の燃料になります。続けた先で、自分が変わっていく手応えを感じられるはずですよ。