こんにちは。株式会社ICUの川島です。
先日、お付き合いのある経営者の方と話をしていた時のことです。
こんな話になりました。
「仕事で大事なのは、まず量稽古。数をこなして、身体に染み込ませることが最初だよ」
私もまったく同感です。仕事で圧倒的な成果を出している人は、私の周りでは例外なく、どこかの時期に圧倒的な量をこなしています。その社長さんご自身も、まさにそういう方です。
プロとして仕事の質を上げるなら、まずは量をこなす時期を自分で作ること。効率化が効いてくるのはその後です。

量は身体を変える
量稽古というと体を使う仕事の話だけに聞こえるかもしれませんが、頭を使う仕事でもまったく同じです。
私の知り合いのあるコンサルタントは、エクセルやワードの操作にマウスをまったく使いません。すべてキーボードのショートカットで操作するため、見ている人があっけにとられている間に書類が完成しています。
あの操作は一朝一夕では身につきません。何百回、何千回と繰り返す中で、指が勝手に動くようになっている。手が自動で動くから、頭は中身を考えることに集中できる。私は、これが量が質に変わるということだと思っています。
これは特別な才能の話ではありません。小さな会社ほど一人が受け持つ仕事の幅は広く、道具を自在に使えるかどうかが、そのまま仕事の速さに表れます。

効率だけでは届かない場所
タイパや効率化という言葉をよく耳にするようになりました。無駄を省くのは大事です。ただ、最初から効率だけを追い求めると、土台が薄いままになります。
たとえば営業の商談。トークスクリプトを覚えて型通りに話すことはできても、お客様の反応に合わせて言葉を変えたり、間を取ったりする力は、場数を踏まなければ身につきません。引き出しは、実際のやり取りの中でしか増えていかないものです。
書類の作成でも、テンプレートを使えば形は整いますが、相手に合わせて言葉を選び説得力のある流れを作る力は、何本も書いた経験がなければ育ちません。
土台の厚みがないまま効率だけを追いかけると、想定外の場面で対応ができなくなります。
量稽古は自分で踏み込む
今は働き方改革もあり、会社が従業員に量稽古を求める環境を作るのは難しくなりました。それ自体は良い変化です。ただ、会社が用意してくれないなら、自分で場を作るしかありません。
まずは、毎日の仕事の中で繰り返している作業を一つ選んで、意識的に回数と精度を上げてみることです。営業なら商談のロールプレイを毎朝10分。事務処理ならショートカットキーを一つずつ覚えて、マウスに手を伸ばす回数を減らす。報告書であれば、出来の良い過去の報告書を一本そっくり書き写してみると、文書構成の型が自然と身についてきます。
特別なことではなく、意識して繰り返すかどうかで半年後のスキル熟練度が変わってくるのです。
私自身、新しい技術が出てきた時には、気がつくと翌日の朝方まで触っていることがあります。それを知っている周りの人には「大変ですね」と言われますが、自分自身が好きでやっているので苦にはなりません。むしろ充実した時間です。

量の先にある景色
何事も近道はありません。しかし、量稽古というのは単なる遠回りではありません。量稽古を重ねると、あるとき、同じ仕事の見え方が変わる瞬間が来ます。判断が速くなり、迷いが減り、「身についた」と実感できるようになる。自分がやった分だけ確実に積み上がっていくのが、量稽古の良いところです。
一時的に負荷は増えますが、やってみる価値はあると私は思います。自分の仕事の中で「ここを鍛えたい」と思うものを一つ選び、ぜひ取り組んでみてください。1ヶ月ほど継続すれば、手応えが変わってくるはずですよ。