「いい感じ」の中身を言葉にしていますか?

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

「いい感じにまとめておいて」「前と同じ感じでやっておいて」。社内で日常的に使う言い方です。通じることのほうが多い。

ただ、たまに出来上がったものを見て「そうじゃないんだけどな」と感じることがある。どこが違うのかうまく言えないのに、何かが違う。

こんなご相談をいただくことがあります。

「指示は出しているのに、思った通りに仕上がってこないんです。」

通じるときと通じないときの違いは何か。私は、「いい感じ」の中身が言葉にならないまま渡されているかどうかの差だと感じています。

通じるとき、通じないとき

「いい感じにやっておいて」が通じるのは、お互いの間で「いい感じ」の意味が一致しているときです。長く一緒に働いてきた相手なら、過去の経験の積み重ねで、何を求められているか暗黙のうちに伝わっている。だから短い言葉でも結果が合います。

通じないのは、その前提がないときです。「いい感じ」の基準は自分の中にあるけれど、相手には伝わっていない。受け手は自分なりの「いい感じ」で捉えて進めます。仕上がりを見て「違う」と感じるのは、そもそもお互いの基準がずれていたからです。

厄介なのは、このずれが表に出にくいこと。受け手が「たぶんこうだろう」と解釈して黙って進めることのほうが多く、確認が返ってくるケースは少ない。結果が出るまでずれに気づけないまま、時間が過ぎていきます。

言葉にしないまま渡してしまう場面

ありがちなのは、「完成品なのか、たたき台なのかがわからない」場面です。書類を渡して「これを元に進めて」と言われた相手は、そのまま使うのか手を加えていいのか判断できません。

「必要なものを選んでおいて」もそうです。何を選べばいいのか、基準が渡されていない。選んだ結果が意図と違えばやり直しになります。

「やり方を変えてほしい」と伝えるときも、理由が分らなければ方向が決まりません。「今のやり方だと手戻りが多いから」と一言添えるだけで、受け取った人は自分で考えて動けるようになります。

私がやっていること

私自身、依頼をする前に「これを受け取った人は、どうすればいいか迷わないかな?」と一度考えるようにしています。

たとえば、外部から届いた資料をスタッフに渡すときは、そのまま流さない。先方に確認して認識を合わせてから、「ここは決まっている、ここは任せる」という線引きをして渡す。少し手間は増えますが、確認の往復が減るので結果的には速く終わります。

ただ、これがいつも正しいとは思っていません。「それくらい自分で考えてほしい」と感じる場面もありますし、任せることで育つ部分もある。そこはバランスの話だと思います。

文脈を伝える文化はますます必要になる

「いい感じにやっておいて」が悪い指示だとは思いません。通じる相手には通じる。ただ、通じなかったとき、問題は受け手の側ではなく、「いい感じ」の中身を渡していなかった側にあるのかもしれません。

少し先のことを考えると、文脈が共有されていない相手と一緒に仕事をする場面は増えていくのではないかと感じています。業務のAI化、未経験者の採用、外国人の方との協働文化や経験のベースが違う相手には、「わかるでしょ」は通じにくい。

私は、文脈を言葉にして伝える文化を、今のうちから組織に根づかせておくほうが良いと考えています。

あなたの会社ではどうですか?