こんにちは。高知県高知市で情報処理支援機関として企業さまに伴走支援を提供している、株式会社ICUの川島です。
中小企業の代表メールアドレスには、毎日のようにスパムメールが届きます。三井住友銀行、Amazon、American Express、e-Tax。差出人だけ見ると本物のように見えるメールが、日に何通も届いているという会社は少なくないと思います。
こんなご相談がありました。
「代表メールにAmazonや銀行を名乗るメールが来るんですが、本物かどうか判断がつかなくて怖いです。」
結論として、仕組みと運用の工夫次第で、そういった悩みは無くすことができます。私がお客さまのメール環境をお預かりしている中でたどり着いた方法を、3つの段階に分けてお伝えします。

スパムを止める第一の壁、サーバー側のフィルタ
最初の防衛線は、メールサーバーに備わっているスパムフィルタです。例えば、当社が管理しているサーバーでは、スパムと判定されたメールの件名に「*** SPAM ***」という文字列を自動的に付与する仕組みを入れています。受信トレイに届いた時点で件名を見れば、スパムメールの可能性が高いことがわかります。
この仕組みはサーバーの設定で導入できることがあります。もしご自身の会社のメールにこの表示が出ていなければ、サーバーの管理を担当している事業者に「スパムフィルタは入っていますか。入っていなければ導入できますか」と聞いてみてください。ここが整っていれば、届くスパムの大半は件名で見分けがつきます。
ただし、スパムと判定されたメールをサーバー側で一律削除する設定はおすすめしません。正規のメールが巻き込まれたときに、届いていたこと自体に気づけなくなるからです。件名にマークを付け、迷惑メールフォルダに移動する程度にしておきましょう。迷惑メールフォルダに振り分けられたメールは定期的にざっと目を通しておくと安心です。
フィルタをすり抜けてくるメールへの備え
サーバーのフィルタは万能ではありません。巧妙なスパムはすり抜けてきます。ここで大事になるのが、運用の工夫です。
まず確認しておきたいのが、代表メールアドレスの使い方です。代表アドレスでAmazonの買い物をしたり、ネットバンキングに登録したり、e-Taxの申告に使ったりしていないでしょうか。もし使っていなければ、これらのサービスを名乗るメールは全てスパムだと即座に判断できます。私はこの「使い分け」が一番効果の大きい対策だと考えています。代表メールはあくまで取引先とのやりとり専用にして、各種サービスの登録やバックオフィス業務には別の非公開アドレスを使う。それだけで「本物かもしれない」と迷うことがなくなります。
メールアドレスの使い分けができたら、次は差出人名での一律ブロックです。三井住友銀行、Amazon.co.jp、American Express、e-Taxなど、代表メールに届くはずのない差出人は、メールソフトの迷惑メール設定で一律ゴミ箱行きにしてしまいます。届いたメールを1通ずつ判断するのではなく、差出人の名前そのものでフィルタリングする方法です。

差出人名を偽装する巧妙な手口と、その見破り方
ブロックリストに登録しても、なぜか同じサービスを名乗るスパムが届き続けることがあります。これは、差出人名にUnicodeの特殊な制御文字が使われているケースです。
具体的には、RLO(Right-to-Left Override)という、文字の表示方向を右から左に反転させる制御文字が差出人名に埋め込まれていることがあります。昔の日本語がそうであったように、アラビア語などは文字が右から左に書かれますね。これらの文字を表示するための制御文字が埋め込まれているのです。
メールソフトの画面上では「ANAマイレージクラブ」と表示されていても、実際のデータは「ブラクジーレイマANA」という逆順の文字列になっています。他にも、同じように「Amazon.co.jp」に見えるメールも、実体は「mA za o .n oc . pj」のように文字列を分割しながら逆表示にしていく、悪質な方法もあります。

見破る方法は実は簡単です。差出人名をコピーして、メモ帳に貼り付けてみてください。メモ帳はこの制御文字を無視するので、逆順の本当の文字列がそのまま表示されます。見慣れない文字列が出てきたら、その文字列をそのまま迷惑メールの差出人としてブロック登録します。表示上の名前ではなく、実体の文字列で登録することで、同じ手口のスパムをまとめて止めることができます。
差出人ドメインを登録する方法もありますが、ドメインの数は無限にあるので、あまり現実的ではありません。
仕組みで迷いをなくす
スパム対策というと、1通ずつメールを開いてURLや文面を見極める方法が語られがちですが、忙しい中でそれを毎回やるのは現実的ではありません。サーバーのフィルタで大半を止め、代表メールの使い分けで「迷う場面」をなくし、すり抜けてきたものは差出人名で判定してブロックする。この3段構えにしておくと、スパムに時間を取られることはほぼなくなります。
メールの設定回りで気になることがあれば、ご相談くださいね。