こんにちは。高知県高知市で『営業』に強いホームページ制作を行っている、株式会社ICUの川島です。
私たちは仕事柄、提案書をたくさん書きます。新しいお客様に向けた提案、既存のお客様への追加提案、補助金を活用した企画。どれもお客様にとっては、これに何百万円かけるかどうかを判断する場面です。
提案書を書きながら、お客様が決断する場面を想像することがあります。経営者がご家族や社員と話し合い、最終的に判子を押すまでの過程です。決して軽い判断ではありません。お客様にとって発注は「清水の舞台から飛び降りる」決断であることが多いと、強く感じています。
こんなご相談がありました。
「提案書をしっかり作って出しているのですが、なかなか受注につながらないんです。」
結論としては、提案書を書くときに、お客様がそれを読んで“飛び降りる”決断をする場面まで想像できているかを、一度立ち止まって確認するのが良いと思います。提案書は、こちらが伝えたいことを並べる場ではなく、お客様が決断するための材料を整える場です。

お客様にとって、発注は「重い決断」
提案する側は、お客様の事業や規模を予想しながら提案書を作ります。100万円、300万円、500万円。それぞれの金額に応じて、組み立てを考えます。
ただ、お客様の側に立つと、その金額の重みは私たちが想像する以上だと思うのです。例えば小規模企業の経営者にとっては、決まった予算から100万円を出すのは、家計から100万円を出すのと近い感覚を伴います。社内に説明する義務もあれば、失敗したときの責任もあります。提案する側は何度も経験している場面でも、お客様にとっては年に何度もない大きな判断にあたります。
その差を想像できていないと、提案書は「こちらが伝えたいこと」だけが並んだ資料になります。事業実績、サービス内容、料金、納期。並べる順番もこちらの都合になりがちです。
よくある「自分視点」の提案書
一つ目は、自社の説明から始まる提案書です。「弊社は創業○年、これまで○社のお客様にご利用いただきました」と冒頭に置く。実績を信頼してもらいたい気持ちはわかります。ただ、お客様がまず知りたいのは「自社の課題が解決するのか」です。
二つ目は、サービスのスペックを並べてしまうケースです。機能、特徴、技術。これも自社の都合で並んだ情報で、お客様が「これで何が変わるのか」を読み解く必要があります。判断の負担を相手に押し付けてしまっています。
三つ目は、締めが「ぜひご検討ください」で終わってしまうパターンです。検討するのは当たり前で、その材料が整っているかが問われています。検討してくださいと言いながら、お客様が社内で説明する材料を渡せていないことが多いです。
提案書を書く前に、想像してみる
提案書に手をつける前に、お客様が決断の場でどう説明するかを想像してみてください。社長一人で決める会社なら、ご家族との会話や、ご自身の中の葛藤を思い浮かべます。社内決裁が必要な会社なら、お客様の担当者が役員に説明する場面まで頭に置きます。
そこで使われるであろう言葉と、出てくるであろう不安を、提案書の中に先回りで入れておきます。「なぜこの会社を選んだのか」「なぜこの金額なのか」「失敗したときに誰が責任を取るのか」「契約後、どんなサポートがあるのか」。お客様が自分の言葉で説明できる材料を、提案書の中に置いておくということです。
書き終えたら、一文ごとに「これは、相手が飛び降りるときの背中を押す内容か」と自問してみると、削るべき箇所と、足すべき箇所が見えてきます。

提案する仕事の根っこ
提案書は、お客様にとっての「清水の舞台」を想定して書くもの、と私は考えています。決断する側の重みを引き受ける姿勢で書きはじめると、内容も、構成も、言葉も自然に変わっていきます。
これは営業の場面に限った話ではありません。社内の企画書も、社員に向けたメッセージも、相手が動くために何かを決断する場面では同じ構造になります。提案する仕事は、相手の決断を引き受ける仕事だと思うのです。
身を入れた一つの提案は、今回の受注につながらなくても、お客様の中に残ります。最初に確認するのは、自分が出している提案書が、相手の決断を後押しできているかどうかです。相手の決断の重みを想像することを大切にしていきたいですね。