「難しすぎる」は、たいてい量の問題

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

新しい技術や考え方を学ぼうとして、「これは難しすぎる」と感じて手が止まったことはありませんか?
本を開いて最初の数ページで気持ちが折れる。セミナーを聞いても言葉が通り過ぎていく。誰かに教わっても、自分の仕事にどう使うか想像できない。私自身、何度もある経験です。

ただ、後から振り返ってみると、本当に難しかった訳ではないものも多くあります。難しかったのではなく、一度に全部を飲み込もうとしていた。それだけの場合が、実は多いのです。

こんなご相談がありました。
「最近のAIツールを勉強したいのですが、どこから手をつければいいか分からなくて、結局何も始められていません」

結論としては、「難しい」と感じたときは、まず分解から始めることをおすすめします。学ぶ対象を小さく割っていくと、ひとつひとつは普通の作業に見えてきます。

「難しい」の中身を分けてみる

「難しい」という感覚は、よく観察すると、いくつかの違うものが混じっています。聞いたことのない用語が並んでいるための難しさ。手順が多すぎて全体像が掴めない難しさ。自分の仕事との接点が見えない難しさ。これらは別ものです。

特に多いのは、ひとつの単語の意味が分からないだけで「全体が分からない」と錯覚するパターンです。新しい技術ほど独特の言い回しが多いため、最初の数ページで「自分には無理だ」と感じやすい。実際は、用語を一つずつ調べていけば、書いてあること自体はそれほど特別ではないことが多いのです。

つまり、難しさの中身を分けないまま「難しい」と片付けてしまうと、本当は手を伸ばせばできることまで諦めてしまうことになります。

よくあるつまずき方

最初に多い失敗は、いきなり全体を理解しようとすることです。本の最初から最後まで通読する、入門書を3冊買って読み比べる。意気込みは素晴らしいのですが、最初の段階では情報が多すぎて、消化できないまま終わってしまいます。

もう一つは、応用例に先に飛びつくパターン。誰かの華やかな活用事例を見て真似しようとすると、土台が無いまま組み立てるので、すぐに崩れます。先に動かしてみるのは良いことですが、動いた後の「なぜそうなるのか」を押さえないと、次に応用が利きません

そして、用語につまずいたまま我慢して読み進めるパターンもあります。「分からない単語があるけど、続きを読めば分かるだろう」と進むと、後の章では前提として使われ、ますます分からなくなります。

分解の手順

実は私自身、分解の効果に最初に救われたのは小学生の頃でした。3〜4年生のとき、たまたま本屋で手に取ったプログラミングの入門書が、難しそうな仕組みを章ごとに小さく分けて説明してくれていたのです。一章ずつ読み進めるうちに、いつの間にか自分でプログラムが書けるようになっていました。あの本がなければ、たぶん「難しい」で終わっていたと思います。

分解は、難しく考える必要はありません。まず確認することは、「自分が何を学ぼうとしているかを一行で書き出すことです。漠然と「AIを学ぶ」ではなく、「メールの下書きをAIに任せられるようにする」のように、具体的なゴールを置きます。これだけで、要らない情報を切り捨てられます。

次に、そのゴールを2つか3つの工程に分けます例えば「使うサービスを決める」「アカウントを作る」「最初の指示文を書いてみる」のように。ここまで分けると、ひとつひとつは普通の作業で、難しさは感じません。

分からない単語が出てきたら、その場で一つだけ調べます。全部調べようとせず、目の前のゴールに必要な一つだけ。これだけで、先がぐっと見えるようになります。

工程ごとに小さく試して、動いたら次へ進む。動かなかったら、その工程の中をさらに分解する。これを繰り返すと、いつの間にか全体が形になっています。

大きく見えるものほど、割ってみる

新しい技術や考え方は、最初は大きな塊に見えます。ただ、まず具体的なゴールを一行で書き、その下に2〜3の小さな工程を並べる。あとは目の前で必要になった用語だけを、一つずつ調べていく。やっていることは、普段の仕事で段取りを組むのと、ほとんど変わりません。

難しさは、対象そのものよりも、一度に向き合っている量の問題であることが多いのです。最初の一行を書き出してみると、輪郭が見えてきます。

小さく割るほど、前に進みやすくなりますよ。