「新規顧客」にばかり目が向いていませんか?

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

経営者の方とお話ししていると、相談の多くが「新規をどう取るか」に集中しています。ホームページからの問い合わせを増やしたい、営業の打率を上げたい、認知を広げたい・・・。どれも大事なテーマです。

先日、お客様と話していたときのことです。新規だけでなく、既存のお客様に何を提供できるかという全体検討も必要ですよね、というやり取りになりました。新規獲得の議論ばかりが続くと、すでにお取引のあるお客様の存在が議題から抜け落ちていくことがあるからです。

こんなご相談がありました。

「売上が伸び悩んでいるので、新規獲得を強化したい。何から手をつけるべきですか?」

結論としては、まず既存のお客様への提供価値を見直すところから始めるのが早いです。新規が課題に見えて、実は既存の取りこぼしが原因のことは少なくありません。

新規ばかりが見えてしまう理由

新規顧客の話に意識が偏るのには、いくつか理由があります。

一つ目は、新規は数字で見えやすいことです。今月の問い合わせ件数、契約件数、来店数。動きが明確なので、議論の対象にしやすい。

二つ目は、既存のお客様の変化は見えにくいことです。取引量がじわじわ減っていても、月々の売上の中では埋もれてしまいます。ご注文が途絶えて、ようやく「そういえば最近頼まれていない」と気づくことが起こります。

三つ目は、現場の評価が新規中心になりがちなことです。営業や販売の評価指標が新規契約数で組まれていれば、既存のフォローは後回しになります。

LTV(ライフ・タイム・バリュー)・・・顧客生涯価値という考え方があります。「一人のお客様が、お付き合いの全期間でいくら払ってくださるか」を見る指標です。新規一回の売上ではなく、関係全体で見る視点です。

よくある失敗

最初に多いのは、新規ばかり追いかけて、既存のお客様への目配りが手薄になることです。気づかないうちに取引量が減っていれば、新規が増えても全体の売上は積み上がりません。バケツに水を注ぎながら、底の穴を放置している状態です。

次によく見るのは、既存のお客様に何も提供しないまま放置している会社です。連絡もしない、提案もしない。お客様からすれば「買ったらそれっきり」の取引先になります。次に必要が出たとき、思い出してもらえるとは限りません。

もう一つは、リピートを取りに行くときに、価格訴求に頼ってしまうパターンです。割引や特典で引き留めようとすると、利益が削れる上に、価格でしかつながらない関係になります。

今日からできる打ち手

忙しい中で全部はできないので、まず一つだけ確認しましょう。現在お取引のある既存のお客様の一覧を作ることです。一覧にすれば、それぞれのお客様にどのくらい接点を持てているかが見えてきます。「ここしばらく、こちらから何も提案していないな」と気づくお客様が、想像より多いかもしれません。

その上で、既存のお客様に何を提供できるかを考えます。方向性は大きく三つです。

情報提供:自社が知っている業界動向、活用事例、新しい使い方をニュースレターやメールで届ける
アフターケア:使用状況の確認、点検、トラブル相談の窓口を明示する
関連提案:お客様の現在の困りごとを聞き、それに合う商品・サービスを提案する

どれも派手な施策ではありません。ただ、続けていれば「気にかけてくれる会社だな」とお客様に思ってもらえます。次の困りごとが出たとき、最初に名前が浮かぶ会社になれるかどうかは、ここで決まります。

新規と既存はセットで考える

新規獲得も大切ですが、既存のお客様の維持・育成も、同じくらい大事です。長くお付き合いいただいているお客様は、こちらのことをよく知ってくださっています。関係を深めるほど提案も通りやすく、新規一件を取りに行くより、既存一社との取引を広げる方が近道のこともあります。

まずは現在のお客様の一覧を作って、それぞれに何ができるかを考えてみる。出てきた施策を、一気に全部やろうとすると、忙しさに紛れて続きません。一つずつ、無理なくできることから始め、継続して行えるようにしていきたいですね。