こんにちは。高知県高知市で情報処理支援機関として企業さまに伴走支援を提供している、株式会社ICUの川島です。
最近、AIに仕事を頼んでみたけれど、期待した成果が返ってこなかった、という経験はありませんか。一度試して「思ったより使えないな」と感じたまま、AIから距離を置いている経営者の方も多いように思います。
こんなご相談がありました。
「AIに提案書のたたき台を作らせてみたのですが、当たり障りのない内容しか出てこなくて、結局ゼロから自分で書き直しました。」
結論としては、AIの成果の質は、渡す情報の質で9割が決まります。うまく使っている経営者ほど、特別な操作をしているわけではなく、普段から社員に仕事を頼む時と同じことをしているだけです。

AIがイマイチに感じる、本当の理由
AIに頼んで「微妙だった」と感じるケースの多くは、AIの能力不足ではなく、こちらの段取り不足が原因です。
たとえば入社したばかりの新人に「お客様への提案書を作っておいて」と一言だけ伝えて、翌日に思いどおりのものが上がってくることは、まずありません。業界のこと、お客様の状況、今回の提案の狙い、社内で使っている書式。これらが共有されていなければ、新人は手探りで書くしかないからです。
AIも同じです。膨大な知識は持っていますが、あなたの会社のことも、目の前のお客様のことも知りません。前提を渡さずに依頼すると、誰に投げても通用しそうな「当たり障りのない答え」が返ってくるのです。
よくある失敗のパターン
よくあるのは、依頼文が短すぎるケースです。「〇〇について書いて」だけでは、AIは平均点の答えしか出せません。文脈がないので冒険もできないのです。
次に多いのが、目的を伝えていないケース。「何のために使うのか」がないと、AIは無難で汎用的な方向に寄っていきます。営業資料なのか社内共有なのか、伝える相手が誰なのかで、書くべき内容は大きく変わります。
そしてもう一つ、上がってきた答えを一度でNGと判断してしまうケースも多いです。新人に頼んだ時も、一度目で完璧には出てきません。フィードバックをして二度三度と仕上げていくのが普通で、AI相手にも同じプロセスが必要です。
今日から試せる3つのコツ
冒頭の「提案書のたたき台」を例にすると、違いは分かりやすいと思います。「取引先向けの提案書のたたき台を作って」とだけ頼むのではなく、「長年のお付き合いがあるA社に、新商品の導入を検討してもらうための提案書のたたき台を、A4一枚・やわらかい口調・価格の話は入れずに」と頼むと、返ってくるものは大きく変わります。
ここで使っているのが、次の3つのコツです。
一つ目は「なぜ」を伝えることです。この資料は誰に何を伝えるためのものか、どんな決定を後押しするものか。目的と背景を冒頭に一文添えるだけで、出力は驚くほど変わります。
二つ目は「どこまで」を指定することです。文字数、口調、含めたい項目。上の例でいえば「A4一枚・やわらかい口調・価格の話は入れずに」の部分です。逆に「書かなくていいこと」も伝えると、余計な脱線が減ります。
三つ目は「どう確認するか」をこちら側で決めておくことです。たとえば、事実関係の正確さを重視するのか、論理の流れを重視するのか、自社らしい言葉遣いを重視するのか。見る軸を一つ決めて読むと、直すべき箇所がすぐ見え、AIとのやり取りが早く収束します。
まず始めるなら、一つ目の「なぜ」からです。目的を一文添えるだけで、成果の変化を実感できるはずです。

AIを使う力は、経営者の本業そのもの
AIを使いこなせる人とそうでない人の差は、才能でも知識でもありません。頼み方を設計する力、つまり仕事の段取りそのものです。そしてそれは、あなたが日々社員さんと向き合う中で、すでに磨いてこられた力です。
AIは道具であって、本当に問われているのはこちらの段取り力です。裏を返せば、段取りができる人ほどAIから引き出せる成果は大きくなります。
焦らず、順番に。目的を一文添えるところから試してみてください。それだけで、AIとの付き合い方は前に進みますよ。