仕事の再現性は「工程設計」で生まれる

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

「工程設計」という言葉は、製造業の方であれば馴染みがあると思います。一つの製品を作るために、どの作業を、どの順番で、誰がどの設備で行うかを細かく決めておく考え方です。順番が整理されていれば、同じ品質のものを安定して作り続けられます

非製造業の方には、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。事務、営業、経営の現場で「工程設計」と口にすることは多くないと思います。ただ、この発想自体は業種を問わず使えますし、むしろ使った方が良いと私は考えています。

こんなご相談がありました。

「新しく人を採用しても、結局自分でやった方が早くて、なかなか任せられないんです」

結論としては、自分の仕事の工程を一度書き出してみることをおすすめしています。誰がやっても同じ手順で進められる状態に近づけていくことが、人に任せられる仕事を増やすことにつながります。

「頭の中の手順」だけで仕事が回っている

中小企業の現場でよく見かけるのが、長年の経験で覚えてきた段取りが、その人の頭の中だけにある状態です。経理の月末締め、営業のヒアリングから提案までの流れ、お客様からの電話の受け方。どれもベテランの方ほど無意識に進められるので、ご本人は特に困っていないように見えます。

ただ、その手順は外から見えません。教えるときに時間がかかる、自分以外の人がやると品質がブレる、休みを取りづらい。仕事が忙しいまま改善が進まないと感じている方は、まずこの「手順が見えない」状態を疑ってみると良いと思います。

工程を書き出さないと、こんなことが起きる

一度マニュアルらしきものを作ったものの、現場のやり方と少しずつズレていって、誰も見なくなる。中小企業でよく聞く話です。完璧なものを目指して時間切れになるパターンもあります。

逆に「とりあえずやって覚えて」と任せてしまい、覚える人によって品質がばらつくこともあります。理由は単純で、何を、どの順番でやるかが明文化されていないからです。覚えた人の解釈次第で手順が変わってしまえば、再現性は生まれません。

自分の仕事を、手順に分解してみる

まずは自分が毎日やっている仕事のうち、何か一つを選んで、最初から最後までの手順を紙に書き出してみてください。完璧な形でなくて構いません。「何をして、次に何をして、最後にどうやって終わるか」を順番に並べるだけで十分です。

書き出していくと、自分でも「ここは順番が逆だな」「この作業は飛ばしても問題ないな」と見えてきます。判断が必要な分岐があれば、どの条件でどちらに進むかも一緒に書いておきます。これが工程設計の入り口です。

そのうえで、書き出した手順を他の人に渡してみてください。同じ手順で進められるか、途中で止まるところがないかを確認すると、明文化が足りない部分が浮かび上がってきます。書き手は分かっているつもりでも、読み手には伝わらない情報が必ずあります。

工程設計は、何度でも組み直していい

一度作った工程を、そのまま使い続ける必要はありません。お客様が変わる、扱う商品が変わる、使うツールが変わる。そのたびに工程を見直していくことで、再現性のある仕事を続けていけます。

一つの仕事を選んで、書き出してみる。そうすると、自分以外でも進められる仕事が少しずつ増えていきますよ。