会社でAIを活かす土台は、ブラインドタッチにあります

こんにちは。高知県高知市で情報処理支援機関として企業さまに伴走支援を提供している、株式会社ICUの川島です。

ここ最近、職場でAIを使う会社がぐっと増えてきました。GoogleワークスペースのGemini、MicrosoftのCopilotなど、特別な準備をしなくても、いつもの画面からAIに相談できる環境が、多くの企業で整ってきています。皆さんの会社でも、触り始めている方が増えているのではないでしょうか。

そのAIに良い仕事をしてもらううえで欠かせないのが、プロンプト、つまり命令文の入力です。以前、AIは頼み方で成果が大きく変わるという話を書きました。背景や目的を丁寧に伝えるほど、返ってくる答えは具体的になります。ただ、ここには見落とされがちな前提が一つあります。その丁寧な指示を、どうやって画面に打ち込むか、です。

こんなご相談がありました。

「AIを使い始めたのですが、長い指示を打つのが面倒で、つい短い言葉で済ませてしまいます。」

結論としては、会社でAIを活かす土台は、キーボードで正確に速く打てることにあります。そしてその基本が、ブラインドタッチです。今こそ一度、入力の基本を見直す価値があると感じています。

会社では、音声入力が使いにくい

家で一人でパソコンに向かっているなら、いまの音声入力はとても便利です。認識の精度が上がって、話した言葉がそのまま、きれいな文章に変わっていく。長い内容でも、しゃべるだけでどんどん入力できます。

ところが、会社となると話が変わります。同僚が並んで仕事をしているオフィスで、AIへの指示を声に出して読み上げるのは、なかなかやりにくいものです。商談の中身や社内の事情を、周りに聞こえる声で口にするわけにもいきません。職場でAIを使う多くの場面では、結局キーボードで打つことになります。

ここが大事なところです。AIに渡す指示が長く具体的なほど成果は上がるのに、その入力は、声ではなく指で行うしかない。だから、キーボードで速く正確に打てるかどうかが、そのままAIの使いこなしに直結してきます。

入力が遅いと、AIへの指示まで雑になる

困るのは、入力の手間を惜しむことが、そのまま指示の質を下げてしまうことです。

一つ目は、打つのが面倒で指示を削ってしまうこと。本当はもっと背景を伝えたいのに、入力がしんどいと「提案書を作って」の一言で送ってしまう。これでは、せっかくのAIも当たり障りのない答えしか返せません。

二つ目は、ミスタイプの多さです。打ち間違いを直しながら進めると、それだけで時間も集中力も削られます。直しているうちに、何を書こうとしていたか分からなくなることもあります。

三つ目は、自己流のクセです。キーボードに目を落として、決まった指だけで打っている方は少なくありません。一見ちゃんと打てているようでも、実は速さと正確さで損をしている。お恥ずかしい話、私自身も昔はそうでした。

基本は、ホームポジションに戻ること

では、どうするか。特別な道具も教材もいりません。入力の基本、ホームポジションに立ち返るだけです。

ホームポジションとは、キーボードに指を置く基本の位置のことです。左手の人差し指を「F」、右手の人差し指を「J」に置く。このFとJのキーには小さな突起がついていて、目で見なくても指先で位置が分かるようになっています。ここを起点に、それぞれのキーを決まった指で打つ。これが、手元を見ずに打つブラインドタッチの土台です。

私自身、すべてのキーを正しい指で押せていたわけではありませんでした。たとえば、文章を確定させるEnterキー。あれは本来、右手の小指で押すキーです。ところが私は長いあいだ、右手の薬指で押していました。
最近それを意識して小指に変えてみたところ、明らかに入力が速くなったのです。薬指でEnterを押すたびに、人差し指がJの定位置から離れていたのだと思います。小指で押せば、指がホームポジションから離れません。その戻りが速くなった分だけ、打鍵が途切れなくなりました。

試しに、今キーボードを打っている自分の手を、ちょっと見てみてください。左の人差し指が「F」、右の人差し指が「J」。キーを打った後に、指はホームポジションに戻ってきていますか?
そこが揃ってくると、打鍵のぶれが自然と減っていきます。もし自己流になっていたら、無料のタイピング練習サイトを一日数分のぞいてみる。正しい指の位置が、少しずつ手に戻ってきます。

上達した人ほど、基本をやり直している

パソコンを使い始めた頃、多くの人が一度はホームポジションやブラインドタッチを練習したはずです。けれど、いつしか自己流になり、基本を意識する機会はほとんどなくなっていきます。スポーツでも仕事でも、上達した人ほど、こうした基本をやり直しています入力も同じで、足元を整え直すほど、毎日の仕事は楽になります。

一人ひとりの小さな打ち直しが積み重なれば、会社全体でAIに渡せる言葉の速さと正確さも上がっていきます。AIが当たり前になるこれからの時代、その出発点は、特別なツールではなく、毎日触れているキーボードにあります。

そういえば、ホームポジションなんてしばらく意識していなかったな。
そう思った方は、基本に立ち戻って練習してみませんか?